【A.Iと芸術】人工知能による絵画、小説、大喜利回答まとめ【凄過ぎる】
どうも。シャイニングマンです。
先日は「人工知能(A.I)と音楽」についての記事を書きました。
2016年、A.Iは既に人間を人間たらしめる「創造」の領域にまでその触手を伸ばし始めました。
今回は音楽以外で「芸術」と呼ばれる分野(美術、小説、お笑い)での人工知能の進歩をご紹介したいと思います。
人工知能が描いたレンブラントの新作
これは2016年に非常に話題になりました。
1600年代(17世紀)、オランダに「レンブラント・ファン・レイン」というバロック画家が居たのですが、なんとA.Iがこの画家の「新作」を描いたというのです。
それがコチラ
はい。これ、A.Iが描きました。マジです。
一体どうやって…?と気になる所ですね。順を追ってこの真相に迫って行きましょう。
The Next Rembrandt(ザ・ネクスト・レンブラント)」
アメリカのMicrosoft社とオランダのデルフト工科大学などが共同で「The Next Rembrandt(ザ・ネクストレンブラント)」と銘打ったプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトは「多作と言われたレンブラントの新作を人工知能によって描く」事を目的としたチャレンジ企画という訳ですね。凄い事考えるな…。
で、A.Iがこの絵画を完成させた具体的な工程は下記↓
その①
まずコンピューターがレンブラントの作品(346点)の特徴を3Dスキャンによって解析し、絵具の凹凸まで完全にデジタル化
その②
抽出したデータをディープラーニング(機械学習)を用いて作品ごとの特徴(タッチ、色使い、レイアウトなど)を分類&学習
その③
そしてレンブラントの作品の中で最も一貫性のある題材として「ヒゲ&黒い服&白い襟飾り&帽子&右を向いている中年白人男性の肖像画」を特定
その④
最大で13層にもなる絵具の塗り重ねも、その質感も完璧に再現し、約500時間かけて3Dプリンタで出力
とまぁ、こうして上の絵画が出来上がった訳です。
ディープラーニングは画像認識に特化した機械学習プログラムなので、今回のプロジェクトは正に得意分野。これが人工知能が作る「芸術」の最先端です。
レンブラントの新作が出来るまで↓
人工知能は小説も書く
既にアメリカのAP通信ではマイナーリーグの記事をA.Iが書いているというニュースを当ブログでも取り上げましたが、更に進化は留まる事を知りません。
なんと2016年にはついに日本で「SF小説」を書き上げてしまいました。これも基本的には↑で紹介した「The Next Rembrandt」と同じ方向性のプロジェクトでして
今回は「公立はこだて未来大学」を中心としたプロジェクトチームが、SF作家「星新一」さんの作品をA.Iに解析&学習させて作らせました。
更に次のステップとして、A.Iが書いた小説4本を文学賞である第3回日経「星新一賞」(日本経済新聞社主催)の審査に応募しました。
「星新一賞」の一次審査に通過
結果的にどの作品も最終選考まで残る事は無かったのですが、それでも「一次審査に通過」した作品もあったとの事。人間が書いた作品でも一次審査に漏れた作品は多数あった訳ですから、これは相当凄い事です。
SF作家の長谷敏司氏は「きちんとした小説になっており驚いた。100点満点で60点くらいの出来で今後が楽しみ」とも語っており、今後は更なる発展が期待されています。
因みにA.Iが書いた文章の一部がコチラ↓
その日は、雲が低く垂れ込めた、どんよりとした日だった
部屋の中はいつものように最適な温度と湿度
洋子さんは、だらしない格好でカウチに座り、くだらないゲームで時間を潰している
うん、普通にかなり高度な文章です。特に「時間を潰す」という表現は実に人間的…。
恐らく、A.Iが書いた本を知らない人が読んでも全く区別出来ないレベルでしょう。じゃないと一次審査に通るなんて事にはならないでしょうからね。
参考記事↓
「AI」が書いた小説はどれだけ面白いのか | ブックス・レビュー | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
お笑い(大喜利)の分野にも
更に娯楽の面で日本でも浸透している「お笑い」の分野でもA.Iを使ったイベントが行われました。
このイベントは「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」とIT企業の「ワークスアプリケーションズ」が共催という形で
「株式会社わたしは」が開発したお笑いA.I「大喜利βくん」と吉本の若手芸人「ニューヨーク」と大喜利で対決しました。
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千原ジュニアもその性能に驚愕
同イベントの司会は「千原ジュニア」が勤めていたのですが、その千原ジュニアをして「これはやばいのがでてきたな…」と言わせしめるなど、その性能を高く評価しました。
大喜利は僕もお笑いのジャンルの中でも特に好きなジャンルなので非常に気になるところ。
なんと対決結果は「5対3」でA.I「大喜利βくん」の勝利となりました。
ではその気になる対決の一部を見てみましょう。
お題「こんな東京五輪はいやだ」
A.Iの回答
「聖火の代わりに千葉燃やす」
ニューヨークの回答
「錦織選手が遅刻で失格」
はい。人間の僕が見ても、これはA.Iの勝利です(笑)
何よりこの語呂がとんでもなく気持ち良い。「千葉を燃やす」ではなく「千葉燃やす」にする所にセンスを感じますね(笑)
ま、人工知能なのでそこまで計算してるかと言われればそうではないかもしれませんが、大喜利の回答としてはなかなかのレベルだと思いました。
対決を終えた後、千原ジュニアはインタビューで
人間が言ったら(お客さんに)引かれてしまうようなコメントもA.Iが言うと引かれない。
なかなかの打率で、不思議な感じでしたね
と語っており、この経緯から先日1月14日に放送されたNHKの「着信御礼!!ケータイ大喜利」への出演を果たすなど、話題にもなりました。(板尾からアンテナ3本獲得してた)
βくんはツイッターもやっていて、お題を振ると即座に答えが返って来るので気になる人はやってみて下さい(笑)
βくん公式Twitter↓
@ogiribeta
勿論、意味不明な回答も多数ありますが、お笑いには「シュールレアリスム」というA.Iにとってはとても有利と思えるジャンルが存在します。
例え意味不明な回答であったとしても、それを読んだ人が「シュール」と受取る事で強引に成立してしまう事も往々にしてあり、これは大変興味深いと個人的には思います。
参考記事↓
人工知能と吉本の若手芸人が大喜利対決 その結果は… 審査員の千原ジュニア「これはやばいな」と危機感募らせる(1/2ページ) - 産経ニュース
こちらは開発者のインタビュー。大喜利の回答も沢山載ってますので気になる人は是非。普通に凄いです。
【世界初】大喜利ができる人工知能の開発者に会ってきた | オモコロ
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は人工知能(A.I)が作る「芸術/娯楽」の分野においての活躍を書いてみました。
実際に今はまだ人間の手によって「レンブラント」や「星新一」や「ビートルズ」の作品をデータとしてコンピューターにブチ込んで、それをA.Iが解析→学習→人間が入力した条件下で「それっぽいモノ」を出力する、というのが基本です。
つまりまだまだ人間が介入しないといけない部分が大部分を占めているという事ですし、A.I自身に「主体性」があるかと言えば現時点では「無い」です。
結果的に出来上がるのは精度の超高い「モノマネ」とか「贋作」とか「パクリ」だけ。しかし、芸術の分野においては特に「受け手の感性」も評価基準としては重要なファクターになります。
A.Iが書いた絵画や音楽に心を動かされる人もいますし、小説に感心する人も、大喜利の回答で笑う人もいます。
そもそも、人間が今やっている「創作」も基本的には自分に入力されてる過去の経験や体験(データ)からそれを出力して作品を生み出すという工程な訳で。今回紹介したA.I達がやった事とさほど差はありません。
むしろ入れれるデータ量や計算精度などを考えるとその領域だけで言えばとうにA.Iは人間を超えているでしょう。
つまり人間とA.Iを分かつ最後の壁は「感情や意識や主体性」な訳ですが…その壁が無くなるのもそう遠い未来ではありません。
芸術の分野でA.Iが何かやる度に各分野の評論家や知識人の人達が「これは創作とは言えない」とか「まだまだ人間にはかなわない」と発言しているのを見かけますが…「そんな事を言ってられるのも今だけ」でしょう。
ここから驚くべきスピードでA.Iは進化していくと言われています。現に10年前とは全く状況が違いますし、今はまだ大丈夫でも10年後は分かりません。更に20年、30年後には完全に追いつかれるか…もしくは追い抜かれる事になると言われています。
A.Iと人間との間で壁がなくなった時、これまでの人間の在り方、人生の在り方、そういった価値観が大きく変わる時代になります。
そういう時代を今正に僕らが生きているという事を自覚し、次に来る時代に向けてそろそろ心の準備くらいは始めておいても良いじゃないかなと。
なんだか最後の最後に上から目線な感じなってしまいましたが(笑)誰よりも僕自身が恐れて(楽しみにしてる?)いるという事で、〆させて頂きます(笑)
A.Iと仲良く出来ると良いなぁ…
あじゃした!!
A.Iに関して他にも色々書いてまーす↓
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