PUNK一辺倒のバンドマンが30歳過ぎてからHIP HOPの良さを理解した話
どうも。シャイニングマンです。今日は音楽のお話を。
「フリースタイルダンジョン」が注目を浴びてる事で「HIP HOP」がまた盛り上がりを見せてます。
HIP HOPと言えば確か僕が小学生くらいの時にはスチャダラパーが居て
中学~高校の頃にはキングギドラ、餓鬼レンジャー、ラッパ我リヤ、ライムスター、般若、シャカゾンビといった「不良っぽい」のが流行ってて、
完全にシーンがメジャーになってからはシティー系のキックザカンクルー、リップスライム、ケツメイシらが台頭してどんどん「J-POP」と迎合し
そこにバンド形式でラップとラウドミュージックを混ぜた「ミクスチャー」と呼ばれるドラゴンアッシュ、ライズ、マッドカプセルマーケッツなんかも流行ってたと記憶してます。
因みに僕は中学生の頃から音楽と言えば「PUNK」一辺倒で、流行に乗れず、全くと言って良いほど聞きませんでした。
何だったら「ダサいヤンキー達が好きそうなチャラい音楽」って思ってました…(その節はごめん)
そんな僕でも大人になってからHIP HOPに興味を持つきっかけがありまして。
友人の勧めでラップバトルの動画を見てみた
今大流行中の「フリースタイルダンジョン」が始まるちょっと前くらいだったかな?
確か3年前くらい、たまたま音楽好きの友人が「今、ラッパーのフリースタイルバトルがめちゃくちゃ面白いよ!」と勧めて来たんですよ。
その時はフリースタイルバトルの有名な大会(戦極MCバトルとかUMBとか)の動画を見せられたんですけど
上記の経緯から今まで避けて来たジャンルだったのもあって
「よし、これを機会にちゃんと見て(聞いて)みよう!」
って事でオススメされた動画を見てみたんですよ。(誰と誰のバトルだったかは忘れた)
で、確かに凄かったんです。
確かに凄いけど…
噛まずに早口で韻も踏みつつ、相手のディスに対するアンサーも出しながら、決められた小節内でキッチリ自分の言いたい事を収める。しかもそれら全てを「即興」でやってのける。
僕が高校生くらいの頃に見たフリースタイルバトルは「ヤンキーがダジャレを言い合ってる」くらいの認識だったんですけど(いやほんとゴメン)
…現行のフリースタイルバトルはとんでもないレベルになってて驚きでした。
ただ…それでも胸に迫るものはなくて
悪い言い方すれば「凄いだけ」だったんですよ。
僕はバンドの世界で生きて来たので、そっちの言語で例えると
ギターの早弾き対決を見ているような感覚
でした。技術や知識量がスゴイのは分かるけど「それだけ」っていうか、それ以上に自分の中にピンと来るものはありませんでした。
恐らくこれは「即興バトル」だったからで、彼らの「音源」を聞いてればまた違ってたのかもしれません…。
そんなこんなでいくつかバトルの動画を見た段階で「もう次の動画が最後で良いかな~(飽)」なんて思っていたその矢先…
僕のハートをぶち抜いた二人のバトルラッパーが立て続けに現れました。それが
「鎮座DOPENESS」と「呂布カルマ」でした。
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鎮座DOPENESS
HIP HOPを全く知らないとは言え、僕も音楽やってる人間なのでこの人が「ヤバイ」って事は動画一つ見ただけで分かりました。
もうね、明らかに「他と違う」んですよ。それまで見たいくつかバトルよりこの人のバトルは圧倒的に面白かったし、カッコ良かった。
いや、全然知らないのにナマ言ってゴメンなさいね。更にナマ言いますがお許しを。
ラップには「ライミング(韻を踏む)」と「フロウ(歌い回し)」と「パンチライン(決定打となるリリック)」が重要になってくる、とその友人が言ってたのですが
僕が見た感じではほとんどの人は「ライミングとパンチライン」に特化したスタイルに感じました。
先述の通り、僕は「そんなもんはギターの早弾き対決と一緒で、見てて何にも感じる物が無いんじゃボケェ!」という面倒くさい人間なので、そういうスタイルのラッパーにはグッと来る事は無かったのですが
でもこの鎮座DOPENESSは違いました。このラッパーはガチガチの「フロウ特化型」なんです。全部のラッパーを知ってる訳ではないので、他にも居らっしゃると思うんですけど、居たとしてもこの人は別格ではないでしょうか。
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何もかもが独特過ぎる
飄々としたキャラクターで相手のディスをのらりくらりとかわして翻弄しつつ、キメる所ではしっかりキメるっていう「酔拳」みたいなスタイル(笑)
服装とかもいわゆる「B-BOY」って感じじゃなくてめっちゃ普通(むしろダサい?)だし、髪型も坊主とか角刈りとかっていうどちらかと言うと「イモ臭い」感じ。
出て来た時は「なんじゃコイツ?」って感じだったんですけど、バトルが始めると「うわぁ何この人ヤベェ…」でした(笑)
抜群のリズム感、絶妙な拍の使い方、独特過ぎるフロウ、奇抜な言葉選び、そしてあの声。
更にこの人は「音感」も非常に優れてるなと感じました。完全に「歌ってる」んですよね。他のラッパーよりもかなりメロディックで
この人の動画を見て「あぁ…ラップにもメロディーってあるんだぁ」と感心しました。
「音痴」な人がやってるラップってあまりカッコよくありません。リズム感無いのも然り。フロウを売りにする人なら尚更だと思うんですが、鎮座DOPENESSは歌も上手い(音感が優れてる)ってのがまた凄い所。
もちろん韻も踏まない訳ではないし、パンチラインだって残すんですけど、見てるとそんな事がどうでも良くなるんですよね。
もはや曲になっちゃってる
彼のバースの時は完全に「彼の曲(歌)」になってるんですよね。もうずっと彼のバースのままで聞いてたい…みたいな(笑)
どんなビートが来るか分からない即興のラップバトルでこの空気作れるのって、相当なレベルじゃないかなと…。いや、素人目線ですが…。
まぁそれぞれ好みのスタイルはあると思うので「好みの問題」と言えばそれまでかもしれませんが、ともかく僕にとっては「初めて好きになったラッパー」でした。
あと「この人の音源が聞いてみたい!」って初めて思えたラッパーでもありましたね。
※音源はもっと最高。
呂布カルマ
そして二人目。呂布カルマもすっごい特殊なラッパーで、見た目はオールバックにサングラス、服装はこれまたB-BOYな感じじゃなく、いつも派手なスカジャンとか派手なシャツを着ていて一見「チンピラ」みたいな恰好(笑)
鎮座DOPENESSがフロウ特化型ならこの人は「パンチライン特化」って感じがしました。(いやはや素人目線ですスイマセン)
ライミングも他の人に比べたらかなり少な目だし、独特なフロウがある訳でもない。
早口でまくし立てる感じでもなく、技術の押し売り感も無し。ビートには乗ってますが決してリズミカル(ノリノリ♪)って訳でもありません。
こう聞くと「何それラッパーなの?」って感じですが、個人的には「それが最高にクール」でした。
彼はポエトリーディング調(詩の朗読のような)のラップで、低いトーンのまま淡々と相手にパンチラインを叩きつけるスタイルです。例えるなら
皆で楽しくプロレスやってるのに1人だけガチでナイフ持って真顔で刺しに来る感じ(笑)
鎮座DOPENESSとはまた全然タイプが違いますけど、呂布は呂布で最高にカッコ良くてハマりました。
音源も最高です。
やっぱり韻を踏まないとラップじゃない?
実際に現役のラッパー達の間でどう考えられているかはわかりませんが、少なくとも一般的なリスナーの中ではやっぱりどこかで「ラップは韻を踏んでナンボ」な空気感があると思います。
様式美として大切にされるべき文化だとは思いますし、さすがに「全く踏まない」のはナシなのかもしれません。(僕はそれでも良いと思うけど)
何より一般のリスナーにはその方(韻を踏みまくる)が解り易いと思うので、そういうラッパーが「ウケる」のも納得です。
でも恐らく「本当に大切なのはそこじゃない」っていうか…素人考えですが「技術より大切なもんってあるでしょ?」って思うんです。
技術を見せるだけのミュージシャンはつまらない
バンドの世界もそうなんですけど「スキルや知識」っていうのはあくまで自分の頭で描いたモノをより正確に出力する為に必要なものであって、それ以上でもそれ以下でもありません。
ライブや音源はギターやベースやドラムの上手さを見せる事が目的ではないのですよね。
大事なのは「その技術を使って何を出せるか?」です。
はいはい、上手いのは分かったけど、ところで君の音源はどんなの?ライブはどんな感じ?ん?
って所がミュージシャンとしての本懐だと僕は思ってて
そういう面で言えば鎮座DOPENESSや呂布カルマは「音源がとにかく素晴らしい」です。因みにお二方とも音源では「めちゃくちゃ踏んで」ます。
これは僕の想像でしかありませんが、二人ともバトルであまり韻を踏まないのはむしろ「言葉を大切にしているから」なんじゃないか…って思うんです。
ライミングに対するハードルが高いというか、即興の場で無理に踏んで軽くなるくらいだったら踏まずに言葉の重みを優先しよう…みたいな?
なんかこの二人にはそういうHIP HOPに対するアティチュード(姿勢)が感じ取れるんですよね。(あくまで僕の勝手な妄想ですが)
PUNKとの共通点
冒頭でも言った通り、僕の音楽的ルーツは「PUNK」なんですけど、このHIP HOPの精神性というのはPUNKとも非常に通じる部分があると感じました。
PUNKもHIP HOPも、どんなサウンドでやるかとかどんなスタイルでやるかって事はそんなに重要じゃなくて、本質は「アティチュード(姿勢)」にこそ宿るんですよね。
ここに気付いた時に僕の中でのHIP HOPへの誤解は完全に氷解しました。なんだよ、そういう事かよ。チャライだけじゃなかったんだな。(チャライのは居るけどな)
若い頃は当時のブームによる「チャラさ」だけしか感じ取れませんでしたが、年齢を重ねてからこうしてじっくり聞いてみたり、好きなラッパーの事について調べていくにつれ「あぁ、なるほど、こりゃPUNKと同じだな…」と。
特に呂布カルマなんてめちゃくちゃPUNKですよ。…いや、HIP HOPなんですけどね(笑)分かってますよ…。
でも僕の言語で言えば彼はPUNKなんです。サウンドは違えど精神性はかなり似てるっていうか。
もっと若い頃にこの事に気付いてれば、僕は今頃ラッパーになってたかもしれないなぁ…なんて(笑)
呂布カルマが遂にフリースタイルダンジョンに…
これは結構話題になりましたね。
フリースタイルダンジョンに「鎮座DOPENESS」と「呂布カルマ」が出ればそれは事件。と言われるほど、この二人の参戦は期待されていました。
鎮座DOPENESSの方は去年くらいに打診があったっぽいですが、未だに出演の予定は無さそう…
呂布カルマの方は去年末にエキシビション的な感じで出てましたが、今回はチャレンジャーとして正式にダンジョンに参戦しました。
僕も見たんですけど、やはり彼のラップは「現在のシーンへの憤り」に満ちていたように感じましたね。てか、満ちてましたね(笑)
分かる。いや、分からないけど、分かるぞ、呂布カルマ。そんな感じ。
だってバンドシーンも似たようなもんだからさ…。
いや~カッコ良かった。。(来週も楽しみ)
バトルだけがブームになってるような感じ
畑違いの僕がHIP HOPのシーンについてとやかく言うのはアレですが、傍から見てると「MCバトルだけがブームになってる」感じが凄くしてて
今回の僕のように「HIP HOPを知るきっかけ」になるという面では凄く良い事だと思うんです。
でも多分、ラッパーにとってバトルは「目的」ではなく「手段」でしかないんじゃないかな。
バトルをエンタメとしてお客が楽しむってのはアリだと思うんですけど、アーティストとして本来の目的は「ヤバイ音源」を作って「ヤバイライブ」をする事だと思うので
こうして「バトルだけ」がブームになるっていう現象はラッパーにとっては複雑な部分もあるのかな…と今回フリースタイルダンジョンでの呂布カルマを見てて思いました。
鎮座DOPENESSが頑なにフリースタイルダンジョンに出ないのも、もしかしたらそういう葛藤(憤り?)があるのかな…とも。
メジャーになる事の弊害
これはヒップホップだけに限った事ではありませんが
本来アンダーグラウンドだったものが何かの間違いで「ブーム」となり、オーバーグラウンドとして受入れられる(メジャーになる)事で
それまで無名だった人が有名になれたり、今までよりも多くの人が楽しんでくれたり、シーンが大きくなって金銭的にも潤ったりとか、そういう良い事も確かにあって素晴らしいんですけど
シーンが大きくなる(ユーザーの分母が増える)事で「愛や理解の無い人が増える」という弊害もあるんです。これはファンにもアーティストにも言える事ですが、
この現象って、現場の人間としては非常に複雑な部分でして…。
音楽やその背景にある文化や歴史に敬意を払えない人が増える事で音楽の質が落ちちゃったりとか。それこそ一番大切な「アティチュード」が置き去りにされる感じ…。
もちろん、厳密に言えばシーンが小さい内もそういう人は一定数居るには居るんですが、分母が大きくなる事でそれがより顕著になるんですよね。
で、そういったブームの渦の中には常にそういう葛藤と闘ってる人がシーンの中に必ず居て、僕はどういうジャンルであれ「そういう人」が好きなんです。
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まとめ
HIP HOPについて大した知識もないバンドマン無勢が偉そうにつらつらと綴ってしまいました。お目汚しスミマセン。。
書き出したら止まらなくなっちゃって…(苦笑)
でもHIP HOPもその歴史を紐解けば僕の愛するPUNKと通じる部分も多いし、何だったら僕が今のバンドシーンに感じてる想いと似てる部分も沢山あったりでめちゃくちゃシンパシー感じちゃったんですよね。
もちろん好き嫌いや楽しみ方などは人それぞれですし、ブームにケチをつけたい訳でもありまんが
僕は鎮座にしろ呂布にしろバトルの時より「音源での彼ら」や「ライブでの彼ら」が好きですし、そのアティチュードに非常に共感しました。
バトルの勝った負けたも確かに見応えはありますが、やはりそこは彼らのミュージシャンとしての本懐ではないと思いますので
バトルの大会だけじゃなくって、もっとラッパーの音源を聞いたり、ライブに足を運んだり、その文化をより深く知ったり、愛したりする人が増えたら尚良いなと思いましたとさ。
あじゃした!!
※最後に夢の対決貼っておきます。
気になった人は音源もチェック↓